2007年10月11日

よしながふみ『大奥』が面白い

少女漫画は全然読まない私ですが、好みのマゲ物ということで気になっていたこの漫画
ネットでの評判がやたらと良かったので買ってみました。
これが大当たり!
かなり面白いです。

先に断っておくと、史実の大奥を描いた漫画ではありません。
謎の伝染病によって若年男子の人口が激減し、女子の四分の一になってしまったパラレルな日本。
男が減少したため、必然的に女性が社会を支えることとなり、男女の役割が逆転します。
当然、将軍家も女性、大奥に入るのは各地から集められた眉目秀麗な男たち。
そうした設定の上で、将軍様(当然女)と大奥の男たちのラブロマンスや、大奥名物の醜い争いを軸に物語は進んでいくわけです。
設定が設定な上に少女漫画ですから、いわゆるBL的な表現も出てくるんですが、直接的な表現はほとんどありませんから、まあ気にならないレベル。
第一、史実でも当時は普通に男色ありましたし。

一方で合間合間にでてくる民間の様子も、なかなか興味深い。
男子は貴重だから大切に育てられ、芸事を学んで『美しさ』に磨きをかける。
婚姻制度は崩壊し、女たちは遊郭に男の『種』を買いに来る。
旗本の男子の仕事はもっぱら身体を売ることだったり、ある意味、穀潰しだった史実よりもひどい。

また、史実との接点がちりばめられていて、知っているとニヤリとできる部分もちらほら。
例えば間部詮房の罷免や大奥の人員整理など、吉宗継承時のエピソードは史実どおりだったり。
ちなみに、この吉宗様(♀)はかなりカッコいいです。
ブサイクな庭師を草薮に引っ張り込んで事をいたす暴れん坊将軍w

こういった史実との差異を楽しめるので、一種の歴史改変SFとして読むことも可能かと。
若年男子の人口が減少したこの世界は、いったいどう変わっているのか。
男子のみが継承を許された仕事(歌舞伎とか)は?
女性相続に対して武家の反感はなかったのか?
将軍守護たる旗本八万騎も女性が兵役を務めているのか?
外国には伝染していないのか?
そういう風に背景を色々と想像するのも楽しい。
あるいはまた、この世界なら史上有名な剣客を女にしてもいいんじゃないですか。
家光の死を知り政権転覆を狙う駿河大納言!
野望を挫くため奮闘する公儀隠密・柳生十兵衛の息詰まる死闘!
戦いの果てに明らかになる真実、十兵衛は女だった!?

…これなんて山田風太郎?
いやま、五味康祐でも隆慶一郎でも荒山徹でもいいですけど。
あー、でも昨今の萌えブームなら、こんなのとっくにやってるかもw

ともあれ、その物語の持つ背景やらが気になったり、妄想が沸いてくるのは良い漫画の証拠。
要するに『大奥』は文句なしに面白いってことです。
posted by 夜光杯 at 21:18| Comment(0) | TrackBack(1) | 読書・書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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